技術 2022/11/29

着火はトップダウン方式で

寒い朝に暖炉や薪ストーブの焚き付けが上手くいかないと、一日の始まりの気分がいま一つになってしまうという方も多いのではないでしょうか。着火の良し悪しは運?でしょうか。いいえ、薪が燃焼するシステムを知ったうえで、手順を踏んで行っていけば、失敗なく火入れが行えます。

ノルウェーの研究所が「トップダウン方式」を推奨

上から火入れする「トップダウン方式」の燃焼方法を推奨したのは、ノルウェーのトロンハイムにある科学研究所です。2010年、薪ストーブの燃焼効率を研究していた同研究所は、薪が燃焼する過程を調査し、薪が燃えて発生する燃焼ガスが常に上昇することから、この方法を導き出しました。 薪の燃焼過程は、最初は薪に含まれる水分が蒸発し、燃焼が進むとガス化し、さらに燃焼すると炭化します。薪そのものが燃えるのではなく、乾燥して発生するガスが燃焼しているという現象になります。この方法はクリーンバーン機能を活かすスムーズな二次燃焼を促し、無駄な排気ガスを抑えてきれいな燃焼を実現することにもなります。

薪を交互に井桁に組み上げる

トップダウン方式の具体的な着火方法のポイントは、炉内に入れる薪の積み方にあります。一番下に太い薪を2本並行に置き、そこに井桁になるように中くらいの薪を置きます。その上に着火用の細い薪を積み上げていきます。着火には燃え尽きの良い針葉樹の薪を細く割ったものや、「着火剤」を使うのも効果的です。

上からの着火が炉内を暖めてドラフトを促すとともに、裾野に積んだ薪を暖めて燃焼ガスの発生につながり、一挙に燃焼が進みます。

このほか、燃焼をより良くするために、炉内の灰は少しだけ残したら余分なものは掃除すること。また、ガラス扉の汚れも燃焼に影響しますので、「ガラスクリーナー」などで煤を落としておくことも忘れずに。さらに着火時には空気焼調整レバーやクイックベントなどのレバーを全開にして、給気を促すことも必要です。

空気調整レバー