技術 2023/6/28

木灰の活用法

炉内の掃除を見直そう

6月は梅雨入りの季節。シーズンを終えた薪ストーブや暖炉の掃除はお済みでしょうか。梅雨の晴れ間を縫って、掃除などの作業を行いましょう。

特に徹底して行いたいのは、炉内の木灰の撤去作業。灰は燃焼時に炉内の断熱材にもなり、炎の熾(おき)※を調整してくれる大切なものですが、シーズン後にはすべて取り除いて内部に傷みがないか点検しましょう。積もった灰がそのまま梅雨時の湿気を帯びると、内部に錆を呼ぶ原因にもなりかねません。

灰は、なかに燃えさしなどが残っていないか十分にチェックしてから、スコップやブラシなどで、キレイに取り除いてください。この時に、注意したいことは簡単に済まそうと、家庭用の掃除機などを使わないこと。灰はミクロン単位の微細な粒子ですが、掃除機のフィルターにこびりつくと目詰まりをさせる原因になります。手作業で十分ですので、炉内の隙間なども含めて丁寧に取り除いてください。取り出した灰は冬のシーズンには炉内に戻して使いますので、密封できる缶などに入れて保存しておきましょう。

※薪などが燃えて炭火のようになった状態のこと

灰の活用法いろいろ

取り除いた灰は、炉内に敷く用途だけではなく、さまざまな活用法があります。例えば、ガラス扉などの掃除に使ってみましょう。灰の成分は、市販の洗浄剤のセスキ炭酸ソーダと同じようなアルカリ性。濡らした古い布に灰をつけ、煤がこびりついたガラス面などを、軽くこするようにして拭いてみてください。研磨剤のように、きれいに磨けます。

このほか、灰は土壌改良剤や肥料としても役立ちます。成分がアルカリ性なので、酸性に傾いた土の中和をしてくれます。野菜づくりを終えた畑やプランターなどの土に適宜混ぜ込んで使います。

Ash in a metal bucket.

その昔、江戸時代は「灰買い」という専門の商人がおり、竈(かまど)の木灰を家々に定期的に購入しにきたそうですが、その目的は灰が持つ土壌改良剤としての力。特に大根などの根菜類を育てるカリ成分が豊富なために「根肥(ねごえ)」として重宝されました。

また、ワラビやゼンマイなどの山菜類のあく抜きや、カメムシなど害虫の駆除、積雪時の路面の凍結を防ぐ融雪剤などに使われることもあります。

こうして、灰は天然の肥料や薬剤代わりになりますので、廃棄するだけでなく、有効に活用してください。