THIS IS JØTUL

扉のデザインから見るヨツールの歴史

1800年代のデザイン: 鋳物の美しさを表現したデザイン
「薪ストーブの楽しみは“暖かさ”と“炎の美しさ”」というのはごく最近のこと。1950年頃まで薪ストーブには窓がなく、鋳物で覆われており、“美しさ”といえば鋳物に施されたレリーフ装飾でした。
1853年、ノルウェーでヨツール社が誕生。日本では浦賀に黒船が来航した年です。当時、鋳物は大砲や銃製造のために造られていましたが、少しずつストーブの製造にも鋳物が広がり始めました。徐々に生産コストが下がり、密閉式ストーブは普及していきます。その後、鋳物製造技術はさらに進化を遂げ、北欧製品の特長である複雑で美しいレリーフ装飾が生まれたのです。
 
1806年Næs Iron works社のストーブ。高さがあり、豊かな装飾が施され、裕福な家庭で使用。
1800年代後半、Kværner Works(ヨツール社の前身)の船舶用ストーブ。長い間船舶業界は最も重要な市場となった。暖房としてはもちろん、調理も可能で実用的。
1880年代、Kværner Works(ヨツール社の前身)のストーブ。燃料は薪、石炭、コークス。278kg。燃料が節約できると謳ったモデル
1878年、Kværner Works社。チャーチストーブ。約400kgで教会や大きな建物に設置された。
1900年代のデザイン: 実用性重視から炎の美しさを演出するデザインへ
その後もレリーフ装飾は受け継がれていきます。現在も販売され続けている機種、Jøtul F 602が誕生したのは1930年代。ノルウェー王家の紋章である「ノルウェーライオン」のレリーフが側面に配されたデザインは、今も変わらず人気があります。
1960年代になると、高い耐熱性能を備えたガラスが登場します。薪ストーブは火を閉じ込めるものから、“火を魅せるもの”へという概念が生まれ、視覚的な暖かさも重視されるようになっていきます。Jøtul F 602も鋳物扉からガラス扉になり、その後同様のモデルが増えていきました。
 
1920年頃のトロールストーブ220。調理もできる実用的ストーブ。森の精霊トロールを全面に装飾。トップで調理できるようになっており、使用しない場合は写真のようにデコレーティブトップでカバー。
1922年発売。建築家Gudolv Blakstad氏のデザイン。シンプルなラインが今までと異なり、大きな注目を集め、新しいトレンドとなった。
 
1940年生産された偉大なWood stove 602。建築家BlakstadとMunthe-Kaasが設計し、Ørnulf Bastが装飾を担当。シガー燃焼方式は新しく燃料を節約。戦時中のため大きな利点となる現在も販売中。
1950年代初頭、発売されたフリースタンディング暖炉PEIS(パイス)150。初のフリースタンディング暖炉。暖炉をそのまま容易に設置できるものとして、さらに炎をみれるモデルで人気を博した。
現代のデザイン: 機能性だけでなく環境も意識したデザインへ
長い冬をいかに快適に過ごすか、という哲学から北欧デザインが発展してきたと言われます。ヨツール社の暖炉・薪ストーブも同じように時代のトレンドをうまく取り入れながら進化してきました。また、近年では環境問題への意識の高まりから、環境に負荷のない、循環型社会に向けて技術開発が進んでいます。
デザインと技術、そのどちらも重視しながら、最先端の暖炉・薪ストーブが開発されているのです。
 
1960年代初頭のFireplace Stove 810。新しい機能として大きな燃焼室、大きな炎を見れるモデルとして人気となった。
1990年代 Wood stove 602にガラス扉が登場。視覚的な暖かさも重要視され始めた。
 
2015年発売のヨツール F 305。シンプルなフォルムと大きなガラス扉が特徴的なモデル。
2016年発売のJøtul F 520。「リビングでキャンプファイヤーを」をテーマにデザイン。3面ガラスでオーロラの炎を立体的に堪能できる。